【委員会】平成24年3月21日 第一回定例会 総務委員会

2012.03.21 : 平成24年総務委員会 本文

◯吉原委員 それでは、地方分権改革に伴う条例案が今定例会で提出されております。私の方からは、国の地方分権改革の取り組みの進捗状況を確認するという意味合いで、義務づけあるいは枠づけ、権限の移譲について何点かお尋ねをさせていただきます。
 明治維新以来の中央集権は、我が国の近代化あるいは経済の発展に、他国では類を見ないほど、しかも短期間のうちに大きな成果を残してきたわけでございます。
 しかしながら、時代の流れ、時代の変遷とともに、国から地方への分権改革の体制を積極的に進めていかなければならない今日であります。と同時に、またこのことは強く求められている時代でもあるわけでございます。
 今回提出されております義務づけ、枠づけの条例案は、昨年の五月、そして八月に成立をいたしました第一次一括法、そして第二次一括法に基づいて提案をされているわけでございます。自由民主党が政権担当時代に進めてまいりました地方分権改革がようやく形になってあらわれてきたものと感じているわけでございます。
 この第一次の一括法、そして第二次の一括法について、内容について改めてお伺いをさせていただきます。

◯山内自治制度改革推進担当部長 義務づけ、枠づけの見直しのもととなっている一括法についてですが、第一次一括法は、平成二十一年十二月に閣議決定された地方分権改革推進計画を踏まえ、四十一の法律に関する義務づけ、枠づけの見直しと条例制定権の拡大を図ることを主な内容としております。その中心となる施設・公物設置管理の基準については、例えば、児童福祉施設の設備及び運営に関する基準や道路構造の技術的基準等が都道府県の条例に委任されております。
 また、第二次一括法は、平成二十二年六月に閣議決定された地域主権戦略大綱を踏まえ、百六十の法律に関する地方公共団体に対する義務づけ、枠づけの見直しと条例制定権の拡大を図ることを主な内容としております。施設・公物設置管理の基準については、例えば公園等のバリアフリー化の構造基準等が条例に委任されております。
 さらに、第二次一括法は、四十七の法律に関する都道府県の権限を基礎自治体──区市町村ですが──へ移譲することも内容としております。
 基礎自治体の権限移譲につきまして例を挙げますと、未熟児の訪問指導、これは既に特別区と保健所設置市、八王子市、町田市にまで認められているものですが、これを市町村まで拡大することや、家庭用品販売業者への立入検査、これは都道府県の権限ですが、これを市まで拡大する。騒音、振動、悪臭に係る規制地域の指定、これは現在、特別区まで認められているものですが、これを市まで拡大するといった権限を基礎自治体へ移譲することを内容としております。

◯吉原委員 義務づけ、枠づけの見直しは、全国一律とされていた基準を見直し、地方がそれぞれの実情とか、あるいは特性に応じた施策を展開できるようにすることを目的としているわけであります。そのためには、地方に十分な裁量の権限というものを与えられることが何をさておいても重要だと思うわけでございます。
 それぞれの個々の法律によって異なると思いますけれども、第一次及び第二次の見直しによって、基準の策定について、全体的に見て地方にどの程度の裁量の権限が与えられたのか、お伺いします。

◯山内自治制度改革推進担当部長 第一次一括法及び第二次一括法によれば、地方自治体が条例を制定する際の基準には、条例の内容を直接的に拘束し、当該基準に必ず適合しなければならない従うべき基準のほか、地域の実情に応じた異なる内容を定めることができる標準、それと同様な形の参酌すべき基準の三つの類型がございます。
 基準としては、地方自治体の自主性を強化し、自由度の拡大を図るために、標準、参酌すべき基準といった裁量のある基準が望ましいのですが、第一次一括法、第二次一括法によって、基準の策定を地方自治体の条例に委任するとされたもののうち、約半数のものが従うべき基準とされており、依然として国による規制が強く残っている状況にあります。

◯吉原委員 今のご答弁の中をお聞きしますと、まだまだ国による規制が強く残っている状況がある、こういうことでございますけれども、こういうことでは本当に分権改革の趣旨が生かされるのか、今後心配になるわけであります。
 我が自由民主党政権時代に、地方分権改革推進委員会が行った勧告では、約四千項目を超えて義務づけ、枠づけの見直しが示されておったわけでございます。その見直しがきちんと進んでいるのかどうなのかを確認しておきたいと思いますが、よろしくお願いします。

◯山内自治制度改革推進担当部長 現在、法律による国の義務づけ、枠づけの見直しにつきましては、これまで三次にわたる見直しが行われてきました。
 地方分権改革推進委員会の勧告で示されました四千七十六条項のうち、約四割の千六百四十八もの条項がいまだ検討すらされていない状況でございます。また、検討はしましたが、見直しを行わないとされたものが約三百条項ほどありまして、未検討になっているものと合わせて、約半数程度の義務づけ、枠づけの見直しがいまだ至っていない状況にあります。
 政府は、これらの残された条項について、今後見直しの検討の対象とはするとしていますが、政府みずから見直しを行うのではなく、地方からの提案を受けて進めるとしており、極めて消極的な取り組み姿勢を示しております。
 このように、義務づけ、枠づけの見直しについてのこれまでの政府の取り組みは、従うべき基準などが多いという見直しの質の点もさることながら、条項数という量の点でも決して十分とはいえない状況にあります。

◯吉原委員 第三次見直しを含めて、まだ半数程度の見直しにとどまっている、こういうことのようですけれども、国はぜひとも積極的にこのことを進めてもらいたい、そういうふうに思うところでございます。
 四月一日からは、多くの事務、権限が都から区市町村に移譲されるわけでございます。せっかく事務や権限が移譲されるわけでございますので、各区市町村は独自の裁量で、それぞれの地域の特性や実情を生かしてもらいたいと思うわけであります。
 とはいっても、区市町村によって極端に違いがあり過ぎて、都民生活に過剰な影響があってはならないというふうにも思うわけでございまして、各区市町村それぞれが地域の特性、実情を生かしながらも、都全体としてバランスがとれるような、都市間競争もまた生まれるような地方分権を進めていくことが重要ではないかというふうに思うわけであります。大変難しいことだと思いますけれども、都としても、区市町村に対して十分な調整等をぜひお願い申し上げたいというふうに思います。
 そして、当然のことでございますけれども、区市町村に事務、権限が移譲されるということになれば、区市町村には少なからず財政的な負担がかかってくることになるわけでございます。そういった意味でいえば、事務、権限の移譲に伴う財源措置は一体どういうふうになっているのか、伺います。

◯山内自治制度改革推進担当部長 第二次一括法に基づいて都から区市町村へ権限移譲される事務については、権限の拡大とあわせて、それに見合う財源の確保も重要でございます。権限と財源とは、今、先生のお話にございましたとおり、まさに車の両輪であり、地方が権限を行使し、住民に対する責任を果たしていくためには、権限に見合った財源が不可欠でございます。
 第二次一括法に基づき基礎自治体に権限移譲される事務については、地域主権戦略大綱により、国の責務で確実な財源措置がなされるものとされております。これまでの国の説明では、地方交付税について、基準財政需要額の算定におきまして、都道府県分から市町村分に振りかえ、市町村分を増額措置することで対応するということでございます。

◯吉原委員 義務づけ、枠づけの見直しにつきましては、半数近くが従うべき基準とされておりまして、実質的には地方に裁量の余地はないわけであります。これでは国が全国一律の基準を定めているのと同じでありまして、何のための見直しなのか疑問を感じるところでございます。
 また、地方分権改革推進委員会が勧告したにもかかわらず、いまだ手つかずの項目が数多く残されているわけですから、この点においても全く不十分であるといわざるを得ないというふうに思います。
 さらには、区市町村への事務、権限の移譲につきましては、財源措置について、地方交付税による措置という課題も残されているわけであります。移譲される事務、権限につきましては、内部事務的なものや処理件数の少ないものも含まれておるわけでございまして、すぐに支障が出るような状況ではないというふうに思いますけれども、不交付団体の市町村は大変心配しているわけであります。
 都は、そのことをしっかりと受けとめていただきまして、特別区や不交付団体を含むすべての市町村に財政措置がなされるように、国に強く求めていくべきであろうかと思いますが、このような課題を解決しないで、本来の地方分権改革を実現することはできないと思っています。ぜひとも真の地方分権に向けて、国に対しての努力を惜しまないでいただきたいと思っているわけでございまして、今後の都としての取り組みについて局長にお伺いをいたしまして、質問を終わります。

◯秋山知事本局長 地域の特性とニーズに合わせた施策を地方みずからが進めていくということは、地域の活性化の決定的に重要な問題ということでございまして、地方分権、今後の地域社会を考える上で不可欠だと思っております。また、地方の立場以外からも、国が本来、経済政策や外交などに特化して国政を運営していくためにも、この国の形として、やはり地方分権が不可欠ではないかというふうに考えております。
 しかし、今後の分権改革の流れを見ますと、具体的スケジュールが明確でなくなってきているなど、先行きにかなりの不透明感を持っております。かつて、一丁目一番地というような位置づけもございましたけれども、いずれにしても、本来、国政の重要課題の一つであったというふうに思っておりますけれども、やや後退しているのではないかという危惧を持っております。
 まず一点目は、今後の対応でございますけれども、こういった認識のもとで、政府が分権を進めるための道筋、枠組み、こういったものを再度はっきりさせていくという方向が、例えば全国知事会などと連携をして進めていくということが重要ではないかというふうに思っております。
 一方で、具体的な分権の進捗状況、先ほど義務づけ、枠づけでも話がございましたけれども、中身は極めて不十分、それからいろいろ課題もあるというのは、委員ご指摘のとおりでございます。
 部長からるる答弁いたしましたけれども、義務づけ、枠づけの見直しを見ましても、見直しが行われた事項が半分、さらに、見直しても、その結果、従うべき基準という、これは要するに裁量がないということですけれども、裁量を地方に与えないというものも多数あるというような状況でございます。それから、財源措置につきましても、不交付団体については財源がおりていかないというような仕組みになっているということでございます。
 とりわけ問題は、東京の場合、人口や都市機能が極めて集中しておりますし、地価も高いということでございまして、大都市特有の事情を抱えているというふうに考えますと、地方の裁量を認める見直しが一部行われたというふうに申しましたけれども、例えば保育所の居室面積基準などは、地域限定ということで、都内でも地域を限定されておりまして、さらに時間も限定で、二年間の限定で裁量を発揮していいよというような、非常に不十分な見直しだという状況でございます。
 また、見直しが行われていない事項、例示を挙げますと、病院の基準病床、これなどは、東京には高度医療が集積して、全国から患者が集まるというような実態を全く無視して、見直しが行われていないというような状況がございます。
 不交付団体への財源措置も含めまして、こうした大都市特有の課題へ具体的に声を上げていくということが、二番目に今後必要になってくるんだろうというふうに思っております。こういった問題は、とりわけ九都県市などの大都市と連携をして、その改善を国に強く求める必要があるだろうというふうに思っております。
 国に、分権を進める道筋、大きなものを要求していく、つけさせていくということとともに、東京の活力を維持するための裁量確保のための個別具体的な要求を大都市と一緒に進めていくと、この二本柱で今後の分権を進めていきたいというふうに思っております。

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