【委員会】平成24年6月14日 第二回定例会 総務委員会

2012.06.14 : 平成24年総務委員会 本文

◯吉原委員 それでは私の方から、既に報告事項としていただいております天然ガス発電所事業可能性調査についての質問を何点かさせていただきたいと思います。
 まず初めに、天然ガス発電所プロジェクトについて確認しておきたいと思いますけれども、改めて、このプロジェクトはどのような目的でスタートをされたんでしょうか、お尋ねいたします。

◯池田政策部長 東日本大震災を契機といたしまして、安定的な電力供給の前提が揺らいだことを受け、自立分散型エネルギー社会の創出という目標のもと、東京産電力三百万キロワット創出プロジェクトの一環として、百万キロワット級の高効率かつ環境負荷の少ないコンバインドサイクル方式の天然ガス発電所の設置に向けて取り組んでまいりました。
 本プロジェクトは、地産地消の東京産エネルギーの確保に取り組むこと、東電の老朽火力発電所のリプレースに向けた先導的取り組みとして、エネルギーの高効率化やCO2削減に寄与すること、電力市場の課題を発掘し、真に自由化された電力市場の実現に向けた取り組みを国に対し提案要求することといった目的のもと、着手したものでございます。

◯吉原委員 その目的、今、三つご答弁をいただいたわけでございますけれども、農産物ではありませんけれども、地産地消で頑張っていこうよと。つまり、安定的な電力を供給するためにこの事業を始めた、こういうことだろうというふうに思います。
 それでは、このプロジェクトの検討経緯を教えていただければと思います。

◯池田政策部長 昨年八月以降、関係九局から成ります東京天然ガス発電所プロジェクトチームにおきまして、発電所設置の具体的な検討に着手をいたしました。
 昨年九月には、発電所に適した土地の条件といたしまして、都有地で五ヘクタール以上であること、工業専用地域など建設可能な土地で未利用地であること、天然ガス、電気などのエネルギーインフラの導入が容易で、住宅、学校などの生活施設が隣接していないことといった五項目を選定し、その条件を満たした都有地五カ所を公表したところでございます。
 そして、昨年の十一月から、都有地五カ所の事業可能性調査を開始し、検討対象地を三カ所に絞り込むなど、調査結果を取りまとめたところでございます。

◯吉原委員 今回の事業可能性調査のうち、技術検討調査の中では、四項目の結果を出していただいていると思います。一つは施設の配置の件、そして事業期間の件、そして建設費の件、さらには維持管理費の件でございますけれども、試算をした、こんな報告を受けているわけでございます。
 いろいろこの項目を見ますと、五つのうち三つということなんでしょうけれども、事業期間だとか、あるいは維持管理費というものについては、まあ、それぞれの立地予定のところでも余り変わらないんだろうというふうに思いますけれども、中でも一点、建設費につきましては、中央防波堤のところでございましょうか、一千六百億円と、ほかのところに比べますと三百五十億円前後の違いがあるわけでございます。
 この建設費というものの中にはどんな経費が含まれているんでしょうか。そしてまた、この差額というものはどういうことで生じているのか伺います。

◯池田政策部長 建設費には、発電設備本体や建屋の設置費など、発電所そのものの経費のほか、基盤整備費用、ガス管や送電線の敷設費用などが含まれております。
 また、中央防波堤外側埋立地の建設費についてでございますが、発電所本体の設置費一千億円に加えまして、地盤改良や基礎くいの打ち込みのための経費や、ごみ層の除去費用が含まれていることにより、千六百億円となってございます。
 しかしながら、この建設費に維持管理費を加えた総コストを総発電量で割った場合、つまり一キロワット当たりの売電単価を算出いたしますと、十二・八円から十四円程度と、検討対象地三カ所に大きな差異は生じない結果となってございます。

◯吉原委員 今のご答弁ですと、立地条件によって建設費の違いは出るけれども、その膨大な発電電力量で割り返した場合、電気を売る際の単価はさほど差がないんだと、こういうお話だろうかというふうに思います。
 それでは次に、事業スキーム・採算性検討調査の結果についてお伺いをいたします。
 この調査では、事業スキームの選定や採算性の評価等を行ったとの報告を受けました。事業の主体は民間事業者として、都は事業主体に対して、都有地の貸し付けは行うけれども、発電所建設あるいは事業運営費等に関しては、その経費負担はしない、こういう説明があったところであります。
 こうした前提で算出した売電単価について、事業成立の可能性があると判断した理由は一体どういうところにあったのか伺います。

◯池田政策部長 今回の調査で算出した一キロワット当たりの売電単価は、採算面からプロジェクトを成立させることができる単価の水準をあらわしてございます。この場合、IPPという東京電力への売電事業で十二・八円から十三・七円、新電力PPSへの売電で十三円から十四円の結果となってございます。
 この単価は、東京電力が過去入札を行って他社から電力を購入した場合の実績価格である十二・三円から二十九・四円の範囲にあることから、本プロジェクトの事業スキームは採算性が成り立つものとして評価したものでございます。

◯吉原委員 今のご答弁をお聞きしておりまして、私たち、ふだん家庭で東電から供給を受けている単価は、一キロ当たり約十七・八七円ということでございますけれども、今ちょうど国に対して、また新たな電力の要請をされているようで、一体いつ決定するのか、七月一日ということでございましたけれども、そのことはまだ、そんな早い時期には決定しそうにないわけでありますけれども、そんな中で、事業者のもうけ、そしてまた新電力が東電の送配電網を利用する際に支払う託送料が、先ほどの答弁にありました売電価格に上乗せさせたとしても、事業として成り立つんだろうなというふうに思います。
 さて、事業として成り立つ可能性があるという結果が出た、その後、このプロジェクトは一体どのように進めていくおつもりなのか。また、どのような点に留意をしていくつもりなのか、お伺いをいたします。

◯池田政策部長 今後は、当該三カ所の検討対象地周辺の大気、水質、動植物の現況について、この夏から一年かけて環境局が自然環境調査を実施する予定でございます。この自然環境調査の結果を事業者が環境アセスに活用することで、アセス期間全体の短縮を図ることが可能と考えております。
 また、この夏に策定が予定されております国のエネルギー基本計画の内容や東電管内の電力需給の状況など、本事業の推進に影響を及ぼす要因を踏まえつつ、事業を着実に進めてまいりたいと存じます。

◯吉原委員 東京はこれまで、他の地域、要するに新潟だとか福島にも電力というものは依存してきたわけでございますけれども、都内の中小企業は、安定的な電力の供給がもし断たれてしまったならば、事業の継続が本当に大変になってしまうのではないか。そしてまた、ひいては産業の停滞と空洞化をますます招くおそれが十分考えられるわけでございます。
 したがいまして、最終的にどこに決定されるのか、今のところまだ先ですけれども、だれであっても、自分の住んでいる近くに突然大きな発電所が設置される、こんなことになれば、当然のことながら、環境への影響など、それぞれさまざまなことがまだたくさんあるんだろうと思いますけれども、地域住民は不安を感じるというのは、これはもう当たり前のことではないかなというふうに思っております。
 そのためには、こうした地域住民の皆さんの理解もしっかり得ていかなければならないわけでありまして、そのためには十分な説明が当然のことながら必要になるわけであります。
 これまでの地元に対する説明はどういう形で、どんなふうに行ってきたのか。そしてまた、今後どういうように取り組んでいくのか、お尋ねをいたします。

◯池田政策部長 これまで都有地を一定の条件のもとに選別して、五カ所の適地を選定し、事業可能性調査を行ってまいりましたが、その結果を記者会見やホームページ等により広く都民に周知してきたところでございます。また、地元の理解を得るために、広く関係者に対し、直接お伺いをして説明を行ってきたところでございます。
 今後とも、関係区や都民に十分な周知を図った上で、発電所の候補地周辺の自然環境調査に着手をし、事業を次のステップに進めてまいります。

◯吉原委員 もうご答弁いただきましたように、このプロジェクトというものは自然環境調査という次のステップに進む、こういうことでありますけれども、今ご答弁いただきましたけれども、ぜひとも地元の意向にはこれからも十分配慮をいただきながら、取り組んでいただくように要望して、私の質問を終わります。

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